冬眠明け(?)のぼーっとした頭には
きれいな自然が効くと思った。
ひとりで山を歩いてきた。
「関東で星がきれいな山」で検索して、
とりあえず行くなら
アクセスしやすいココ・・・とあった
丹沢の塔の岳へ。
いや~、階段ばっかしの山だなぁ。
私は、星を見たくて山小屋に予約していたんだけど、
15時半ごろ山頂に近付いても、
楽しそうに歩くグループが次々下山してくる。
余裕で日帰り登山できたね~。
でも、山頂から山小屋へ下る道は
もう誰もいない、静かな雪道。
ん? 茶色いケモノ!?
野良犬!? と、どきっとしたら。
シカちゃんでした。
カメラを手にそ~っと近づいていく私を見ても、
ぜんぜん逃げないの。
いま草を食べてんの、アタシ、って感じで。
ジャ~ンプ♪
シカを見るたび、
真っ白なお尻がかわいいなぁ、と思う。
森の中で目立っちゃうのに、
なんでこんな白いパンツ姿みたいなんだろう。
ズーム機能がないGRデジタルⅡで
この近さ。
まったく人を警戒してない。
(ヒトと思われてなかったのかも・・・)
山小屋では、男性グループ4人組が宴会中。
宿泊客はこの4人組と私だけだ。
身内だけで盛り上がっているときに
怪しい女がひとりで現れ、
最初は、なんとなく気まずい空気・・・。
でも、日が暮れてランプだけの明かりになったら、
ぽつりぽつりと会話に混ざっていた。
神奈川の定時制高校の先生で、
山のリーダー(63歳)が
「オレは英語ね。こっちは・・・」と紹介を始めたから、
「ま、待って! 私が何の科目の先生か当てます!」
と、残り3人(30~40代)の顔と、
それまでの会話の感じから推測する。
ひとりは、男性だけど家庭科の先生らしい。
「え~と、体育の先生!」
いきなり正解だった。
体育の先生って感じですもん。
「こちらは・・・家庭科の先生・・・ですよね~?」
鍋料理を丁寧につくっていて、
いちばん若くてやさしそうな男性に言うと、
こちらも「はい、そうです(照笑)」。
最後のこのヒトは・・・・・
「社会科じゃないですか!?」
お見事、全問正解でありました~。
最近、自分の観察力や直観力に
まったく自信をなくしていたから、
ささいなことだけど、ちょっとうれしかった。
遠慮しつつしっかりちゃっかり、
ワインとウイスキーを3~4杯ご馳走になって(笑)。
高校の先生と話すなんて何年ぶりだろう。
携帯が圏外のランプの宿でゆっくり更けていく夜。
夜9時の消灯前に、
先生たちと山小屋の外へ出て、
空を見上げた。
いい具合に酔っ払った社会の先生が
「北斗七星見つけたぞ~! あれだろ、あの柄杓でしょ~?」
とかなんとか言うのを聞きながら、
あぁ、来てヨカッタなぁ・・・と思えた。
翌朝、すぐ隣の部屋から
「いい加減起きろ! もう7時半だっ!」
英語の先生の喝が飛んで、私まで飛び起きる。
携帯画面を見たら、まだ6時半、
先生、1時間間違えてます~。
でも、おかげでこの朝焼けに間に合いました。
塔の岳の山頂へ向かう先生チームに
昨夜のウイスキーのお礼を言って別れた。
ひとり残るのが寂しかったから、
「じゃあ行きます!」と、先に小屋を出た。
あそこにチラチラしてるのは・・・
おはよう、富士山。
尾根道を歩きながら、
何度も何度も富士山の写真を撮った。
そして、祈るように深呼吸した。
私のなかの望まない感情が全部外へ出て、
山の澄んだ空気だけ吸い込めるように。
大好きな飛行機雲、
これからいろんな山で見ようと思います。