陳腐な旅人日記


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お待ちいたしてます♪♪♪ ~陳腐な危機回避案~

きっかけは一通のメールでした。


名古屋のとあるビストロが
キッチンスタッフを募集していて、
未経験でもOK、
丁寧に一から教えます・・・・
という内容で、
大きな声でいいたくはないけれど、
ただいまビバ50歳(!)の私でも
面接して運がよければ、
正社員で、
(しかもわりと好条件で)
働けそうだったのです。

そのメールを受け取ったのは
昨年の11月中旬で、
熱海での調理補助の派遣を
あと1か月半(つまり12月いっぱい)で終了して
名古屋に帰ろう。
そう決めた直後でした。

その求人を見た瞬間、

「ここだー♪」


なぜか強く心が動きました。
フランス料理なんて
1500円以内のお気軽ランチでしか食べたことがなくて
(それも数えるほど・・・)
この先二度と食べることはないだろうなぁ、
だって私、根っからB級グルメ派だし!
新鮮で旬や地の素材を使って
熱い料理はあったかく出してもらえれば、
なんでもOK♪
わしわしわしわし、かぶりつくように食べる
粗野でがさつな女なんですから、、、

と、的確な自己認識があったのに
なぜビストロ???

もちろん、新春早々、また職探しをして
うまく探せなくて自信をなくして引きこもる、、、
そんな中年ニート生活に逆戻りは
もう二度とごめんだったから、
「この店で働いてみたい♪」
そんなふうに感じた心のままに動こうと、
熱海でたまたま休みになった日に
新幹線こだまに乗って
名古屋まで面接に行ったのです。

私より5歳若いオーナーは
旅とオートバイと自転車が好きで、
私が過去に関わっていた雑誌の愛読者でした。
20分くらいの面接を終えたあと、
「本来ならいったん保留にして
後日お返事しますと言うんですが・・・・・」

ななななんと! 即決で採用!

何度もいいますが、
50歳、調理未経験なのに
望んだお店で即決で雇ってもらえるなんてラッキー!
たとえ包丁はほとんど握らない調理補助の派遣でも
熱海で黙々と働いた半年間があったから
今につながったのだなぁ、、、と
しみじみうれしくて
いの一番にハハに報告したら、
ハハもすご~く喜んでくれて。

「求人情報では試用期間も正社員と条件変わらず
って書いてあったけど、
2か月間は時給900円のアルバイトで
保険もつかないって言われちゃったけど・・・・」

「うん、でも、年明けからまた
職探しの無職に戻るよりもずっといいよ~♪」

確かに・・・・・!

もうハハに心配かけたくないし
多少の引っかかりは受け流して
心機一転がんばろーーーーー!

帰りはJRでのんびり熱海へ戻りながら
どんより重い雲がぐんぐん流れていって、
雲の光シャワーみたいに
さ~~~っと前向きなキモチがあふれてきました。


そして2016年がスタート、
年明け早々に今のお店で働きはじめました。

年末は激忙しかったらしい店も
正月早々、フレンチを食べたい人は少ないようで
すっご~くヒマでヒマで!
新人バイト(正社員見習い中)の私は
30代シェフに教わりながら、
サラダ用の野菜をちぎったり、
スープやケーキの仕込みの手伝いをする以外は、
ひたすら厨房で鍋を磨いておりました。
熱海の調理場が
みんな黙々と手だけ動かすのが当たり前だったので
私もなるだけ無駄口はたたかないようにしよう、
とにかく今の私がするべきことは鍋磨き。
むかし好きだった倉本聰さんの板前ドラマを思い出しながら、
「陳腐さんが来てから、
調理場がピカピカになりました」
な~んて褒められることを心のどっかで期待していた気がします。

そして一週間前のこと。
「陳腐さん、ちょっといい?」
オーナーに呼ばれました。

「今日まで働いてみて、どう?」
そう聞かれたので、私は
「楽しいです!」
即答しました。

はじめて見る野菜、
はじめてのポタージュづくり、
はじめてのケーキづくり、
おいしすぎるまかない、
白いタイル張りの美しいトイレ、
シェフやサービスのプロフェッショナルな仕事、
おいしいものをゆったり味わうお客さんたち・・・・

何もかも、
農業&島暮らしに挫折した私の第2ラウンド、
とおいとおい未来に進んでいきたい場所に
必要なものだと思えるから。


オーナーは
初日から黙々と鍋ばっか磨いていた私の「楽しい」発言に
少し驚きつつも言いました。

「そうか、楽しいですか・・・・。
でも、陳腐さんは
今のままでは春に正社員にはなれません。
問題点はまず、
陳腐さんのコミュニケーション能力です」

ランチタイムを終えたあと、
オーナーやシェフや他のスタッフみんなで食べるまかない。
お店のメニューと同様に、
前菜と主菜が並んで
(※もちろん、営業中はお客さんが前菜を食べ終えるころ、
主菜が作られて、できたてが提供される)
ナイフとフォークが用意されます。

粗野でのんきな私は
(ナイフ使うの苦手だからフォークだけでいっか。
おなかぺこぺこだからまずは肉から食べよ~っと♪)
な~んて具合にマイペースでわしわし食べては
(は~、今日のまかないもおいしかった~! シアワセ~♪)
・・・・・と、大満足していたのです。

しかし、その日のまかないを食べている最中に
ようやく私は「はっ!」と気づきました。
他のみんなは、お客さんと同じように
まず、前菜を食べ終えてから
主菜を食べていることに・・・・・!

オーナーはそういう私のガサツな姿を
ぜんぶ観察していたわけです。

「僕がいま言いたいのは、食べ方についてじゃなくて、、、
これが10代、20代の若くて話しかけやすい子だったら、
“お前、まず前菜から食べろよッ!”って気軽に突っ込める。
でも、陳腐さんには誰も何も言わなかったでしょ?
それって、コミュニケーションがとれてないってことですよね?
これから増える若いスタッフと一緒に
楽しく働いていける人なのか・・・・と疑問なんです」

むむ・・・・

その後も私の問題点を次々と指摘され、
その場で思わず、聞いてしまいました。

「それは・・・・
私に辞めてほしいってことなんでしょうか・・・・???」

キレて言ったつもりはまったくなくて、
私を雇ったのが間違いだった困ったなぁ・・・・と
オーナーが感じていて
でも辞めてほしいとはさすがに言いづらくて困っているんだろうか・・・
それが聞きたかっただけなんだけど、
そしたらオーナーは言いました。

「だからこの話し合いの最初に、
陳腐さん、気を悪くしないで聞いてほしいんだけど、って
前置きしたよね?
僕の話をきちんと理解しないで、
そういう切り返しするところがいちばんの問題点なんですよ」って。

さらにむむ~(←何も言えない)。


私の記憶が正しければ、
陳腐はかつて、どちらかといえば
「いじられキャラ」
「天然ボケで激しいツッコミ受けまくるほう」
「ひと回り以上年下の後輩からも正論で注意される未熟な大人」

・・・・・・そんな立ち位置(?)だったと思います。

しかししかし、、、、

何度も言うように今の私は
ビバ50歳!
新しい職場では
誰も過去の私のキャラなんて知らないし、
もちろん興味もない。
必要なのは、
「一緒に心地よく働ける仲間」であり、
それは当然のように
若くて可愛くて親しみやすくて、
おまけに仕事もきっちり完璧にこなせる!
そんな人材がいちばんなのです。

熱海の調理場でもまれて
そういうことは重々承知していたつもりでも
まだまだ私はわかってなかったんだなぁ。

昔からのトモダチや知り合いなら
10代の頃のハチャメチャっぷりも
20代の頃の爆走一直線っぷりも
30代の頃のまだまだ青春の坂道っぷりも
40代の頃の迷い道クネクネっぷりも
「キミが僕を知ってる」状態で、
ぜんぶ笑い話にしてくれる。

でも、初めて出会った人から見たら、
私は、
50歳で独身で、おまけに調理未経験!
若くも可愛くもないのに仕事もできない、
おまけに(性格も悪いかもしれない?)なんて、
私がオーナーだったら、
即刻、
「じゃあ辞めていいですよ」
そう言っていたと思います。

オーナーからは、
「陳腐さんが変わらないかぎり、
うちで正社員で雇う日はいつと保障できない。
ひょっとしたら一年後もアルバイトのままかもしれない。
それでもいいのかよく考えて、
2~3日したらそちらから声をかけてね」

その日の夜、
たまたま厨房に貼ってあった紙を見て
私は愕然としたのです。

それはオーナーが書いたのか
他のスタッフが書いたのかわからないけれど、
とにかく何日も前から貼ってあったと思われる、
いまいるスタッフや、
新たに面接して採用予定のスタッフの配置を
大ざっぱに決めるメモみたいなもので、
「20代かわいこちゃん」とか
既存スタッフのあだ名とかに交じって
私が今後配置されそうな場所には、、、、

50


とだけ書いてあったのです(!!!)

それを見た瞬間(というか直後1時間くらいはずっと)、
(せめて名前で書いておくれよーーー!
人を年齢でしか認識しない店なんて
やっぱり辞めたほうがいいかも・・・・・)と、
どっぷり落ち込みました。

でも、帰り道で
「人にやさしく」(ザ・ブルーハーツ)」
「できっこないをやらなくちゃ」(サンボマスター)
「何度でも」(ドリームカムトゥルー)

落ち込んだときの定番ソングを歌いながら夜道を歩いていたら、

「これがいまの現実。
ぜんぶ受け入れて、後で笑い話にしよう♪」

そう思えました。

10人以上も調理師がいるホテルの厨房と違い、
小さなビストロでは、
まず、笑顔。
そして、相手がとりやすい場所に
いつも正確に球を投げられる、
そして相手の球もきちんと受けられる
会話のキャッチボールができる人。

そして、未経験でもキッチンスタッフを目指すなら、
ヒマなときならなおさら、
注文が入ったときに
シェフがどんな道具を使い、
食材をどの順番でどう調理していくか、
それらをすべて盗むように
きっちり見る。
そして必要だと思ったら、
何かを用意してシェフの手助けをする。
いずれ、ひとりでも店を切り盛りしていけるように
いまやるべきことは
山ほどあるんだなぁ。。。。。。
ひとりで黙々と鍋磨きばっかしてる場合じゃなかった!!!

改めて、
自分の舵をきれる気がしました。

で、数日後。
オーナーに自分から話しかけました。

「よく考えてみて、
やっぱりこのお店で働きたいと思いました。
今はマイナス200点くらいだけど、
これからコミュニケーションもうまくとって、
調理の技術も身につけて
ひとつずつポイントを上げていきます」。

そんな私にオーナーが
「そう言ってくれたから
本当のことをぜんぶ話します・・・」と、
切り出した話がようやく、
今回のタイトルにつながります
(相変わらず、長すぎブログでごめんなさい!)。

冒頭のメールを送ってくれたのは、
私が半年以上前に登録していた
飲食に特化した転職サイトなんですが、
オーナーがそのサイトを使うのは今回が初めてで
仕組みはよくわからないけど、
飲食に特化する転職サイトなら、
いますぐお店を任せられるような
調理経験者が応募してくるに違いない。
たとえフレンチは「未経験」だとしても、
和食でもイタリアンでも中華でも、
調理経験者であれば、
野菜を切ったり
肉や魚を焼いたりする作業には慣れているから
すぐに即戦力になってくれるだろう。

そういう考えからの「未経験でもOK」だったのです。

しかし、ふたをあけてみたら、
たまねぎのみじん切りすらまともにできない
(※陳腐的にはもちろん「日常的にやっていて得意です♪」レベルだけど、
プロの世界では「まるで遅いし、切れてないッ!」レベルだったのでした涙)
おまけに、鍋磨きばっかしててなんか絡みづらい、
そんな50歳女性がやってきちゃったわけです。

さらにさらにオーナーがいうことには、、、

「そのサイト経由で紹介された人を雇うときは
けっこう高額なお金を払わないといけないってことを
後から知って・・・・・・。
もちろん、ちゃんと理解しないでそこを使った僕の責任なんだけど・・・・。
ただ、調理のベテランの人を採用して何十万円払うことは納得できるけど、
陳腐さんみたいに
まったくの一から教えなきゃいけない人を採用するのに
何十万円のマージンを払うのはちょっと考えちゃって、、、」

なんてことだーーーー!

そりゃそうだよねぇ~~~。
私がオーナーだったとしても、
そんな無駄金、一銭たりとも払いたくないです(笑)。

なんだかねぇ、、、

オーナーがそこまで正直にぜんぶ話してくれたことが
私はちょっとうれしかったんです。

だから言いました。

「今は無駄金に思えるというのはほんとうによくわかります!
でも、これから自分にできることを精一杯がんばって、
必ず“あのときは参ったな~って思ったけど、陳腐さんを雇ってよかったよ”
そう思ってもらえる人材になります。
絶対に損はさせませんからッ!」

よっしゃー、これで決まりだと思ったら、

「僕も2~3日改めて考えます」

オーナーのその言葉で
「陳腐の今後」はまたまた保留になりました。
予約も入ってないということで
定休日も入れて三連休をもらい、
今日がその最終日というわけです。

お互い、言いたいことはぶっちゃけたから、
私はもう、この先どう転んでもいいか、って思えます。
やっぱりごめんなさい・・・・だったらほかを探すだけだし、
求人情報と比べて条件は悪くなるけれど、
働きたいならどうぞ、と言われたら、
どんな好条件でも手放したくないくらいの人材に成長できるよう、
一生懸命やるだけだなぁって。


さてさて、
ヒマすぎて進退保留中の陳腐が
ハハがお出かけした隙を狙って朝からこたつで
約4時間かけて書いた、
陳腐至上最長のブログを
最後まで読んでくれた人はお疲れ様です(笑)。
ありがとう♪

そんな

50

が現在進行形のビストロ修行時代を
リアルタイムで目撃したいという物好きなお方や、
名古屋に来たから寄ってもいいよ~ってお方ががいらっしゃったならば、、、

ご来店をお待ちしております♪♪♪

まだ新人バイト(正社員見習い中)なもので、
お店に来てもらってもほとんどおしゃべりはできませんが、
大切な人とゆったりビオワインを飲みながら、
おいしい料理を味わえる静かなビストロです。

ここまでぶっちゃけブログなもので
お店の詳細には触れません。
お店がわからないように細心の注意をして書いたつもりです。
「その店、行ってみたいな~♪ 場所おしえて~」という方は、
非公開コメントでメルアド教えてもらえたら、メールします。

5人、10人・・・・・
いや100人のトモダチ(・・・・そんなにいないけどねw)
が食事にやって来てくれたならば、、、

未経験50歳をうっかり採用しちゃったがために
オーナーが支払わなくてはならなくなった無駄金も
余裕で回収できるんじゃないかなぁ・・・という、
陳腐な腹黒さからのお願いではありますが(笑)、
懐かしいあの人やあの子が来てくれたら、
単純にものすご~~~く
うれしいです♪


みなさん、名古屋の片隅で
ご来店をお待ちいたしております♪
[PR]
by tinpunatabibito | 2016-01-22 11:55 | Comments(3)

    

いつかどこかで「陳腐な食堂」開店予定の、51歳キッチン見習いの雑記。
by tinpunatabibito
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