陳腐な旅人日記


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ARIGATO

日曜日。
たまたま渋谷で時間が空いたので、
ひさしぶりに献血をしようとしたら、
血圧が84しかなくて、
「90以下の人は献血をお断りしています」と、
申し訳なさそうにいわれた。


火曜日。
事故の治療で近所の整形外科に行ったら、
やさしくてイケメンの先生が、
慎重に言葉を選びながら、
「顔の傷は、そのまま残っちゃうかもしれません。
あと、2~3か月様子を見ないとわからないけれど」
といった。


たったそれだけのことで、
いつもはビンビンにしなっている弓も、ポキンと矢が折れる。
「誰にも会いたくない、なんにもしたくない」病が勃発。
そういうとき、上司への言い訳を考えることもなく、
好きなだけ家にひきこもれるのが、
よくも悪くもフリーランスの特権だからね。
仕事がヒマになったこともあり、
だらだら、だらだらしていたら、はや金曜日。

カラダもココロも
十分すぎるぐらいタフになったつもりでいたけど、
まだまだ、弱っちーヤツだ。
ささいな「言葉」ですぐ折れる。


Sayaさんがこの間すすめてくれた本、
(「え~、知らないの!? けっこう前に注目された本だよ~!」)を
昨日、図書館で借りて読んだ。
江本勝さんの『水からの伝言』。

水にいろんな音楽を聴かせたり、
「ありがとう」「ばかやろう」といった文字を見せたり。
いろんな実験をして撮影された、
世界初の水の結晶写真集。

美しい音楽や、やさしい言葉に触れた水は、
ダイヤモンドみたいにきれいな結晶になり、
その逆は見るも無残な形になる。

嘘みたいな話だけど、
実験写真は、水の気持ちを見事に代弁していた。


ニンゲンの70%は水でできているから、
やっぱり、「言葉」は大切なんだ、と思う。

イライラして誰かにひどい言葉をぶつけたり、
ちょっとしたことでいじけて、卑屈な言葉を吐いてはいけない。

「言霊」って絶対にあるから、
元気がないときは、
象のようにただただ眠り、パワーを充電する。
2~3日そうしていると、
いい加減、何もしないことにも飽きてくるので、
そしたらまた、元気よく外に飛び出していけばいいのだ。

誰かと楽しい言葉を交わすために。
小津安二郎の映画に出てくる女性のように、
美しい日本語を話せるヒトをめざして。
そして、10代の頃大好きだった歌のように、
「素敵なことは素敵だと無邪気に」笑って生きよう。


本日の元気の源。
雨の庭に咲いていたナスとキュウリの花。
この花たちも、
「きれいだね」と声をかけてあげれば、
きっとおいしい実をつけてくれるだろうね。
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by tinpunatabibito | 2008-05-30 12:32 | Comments(6)


その笑顔がまぶしくて。

若さって、何の屈託もなく笑ってることなんだな。。。

そんなことを思いながら、
ジブンが彼女たちほど無邪気に笑ってないことに気付いてしまった夜。

昨夜は、国際結婚をして、アメリカに旅立つ
あすかちゃんの送別会だった。
20代、30代前半の若者ばかりの飲み会。
体調悪くてダウナーな気分のまま、
一次会で帰っちゃおうか・・・と思いつつ、
その場の誰よりもまぶしい笑顔で笑っている主賓の姫に
「カエル」なんて言葉がいえるわけもなく、
結局、朝までコース。
でも、朝までいてヨカッタ・・・としみじみ思える飲み会だった。

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写真は、巨匠ムネマサくんのブログから、勝手にコピっちゃいました、
(巨匠から訴えられたらどうしよう。。。
そのときは、ガッキーインタビューをGETして撮影を頼んで許してもらおう)。

二次会で、みんながあすかちゃんにひとことコメント。
b*pの大ファンで、
愛するゆえに山形から上京して、
見事、b*pのライターになったザオウがいう。
「あすかさん、読者の頃からずっと憧れてました・・・!」

いいなぁ、愛されキャラのあすかちゃん。
このまま、すくすく、愛だけに包まれて
地球のどこにいても笑って生きていけよ。。。と思う。

たとえ身内しかいない会でも、
10人以上の人の前で自己紹介とかするのが大の苦手な私は、
もごもご、ぱっとしないコメント。
ご、ごめん。しまらないオオトリで。


目覚めて、そっか昔、ホッタさんにいわれたことがあったな・・・と、
なぜだか急に思い出した。
b*p創刊号の打ち上げ。
原宿のツリーハウスで飲んでたとき。

ホッタさんは、誰にでも書ける原稿はもう書きたくなくて、
ジブンにしか書けない原稿を署名で書きたいとあるとき編集部にいった。
「それから、B誌からプッツリ、仕事が来なくなったよ。。。」
でも、それをいったことを何も後悔してないともいっていた。

そんな話のあとで、ホッタさんがいった。
まぁ、たまたま、私がそこにいたから適当にいっただけだと思うし、
私も酔っ払っていたので、あんまり覚えてないけど、
ニュアンスはこんな感じのこと。

「オレ(の世代)は、ある時期から、もうあづみちゃん(の世代)に道を譲った。
あづみちゃんも、そろそろ、あすかに道を譲るときなんじゃない?」

そうか、そうだよね・・・。
その言葉を聞いたとたん、私は「旅に出よう」と思った。

雑誌は、生き物で、
「どんなときも屈託なく笑える世代」が
「タノシイ、タノシイ・・・!」と興奮しながらつくるもの。
世代交代なくしては、
どんどんつまんないものに成り下がる。
熟年ライターの領域は、雑誌の20~30%でいいのだと思う。

結局、私は旅から帰って、また古巣に戻って仕事してるわけだけど、
「タノシイ・・・!」という気持ちがジブンになくなったら、
いつでも辞める覚悟はある。

あすかちゃんが道を譲るとしたら、
それはきっとザオウ世代なんだと思うけれど。。。

結局のところ、
ホッタさんも、私も、あすかちゃんも、
「誰かに道を譲る」なんておこがましいことは、
これっぽっちも考えてなんておらず、
ジブンが行きたいところへ、
風に乗ってふわふわと彷徨ってるだけ。

それでいいんじゃない・・・? と思ったのだ。
だって、みんな好きなんだもん。
旅をして、その旅で出会った何かを書くことが。


そういえば、
ホッタさんと私とあすかちゃんで、
なぜだかわからないけど、3人とも酔っ払って終電を逃し、
小汚いちんぷ荘で川の字で寝たことがある。
ああいうタノシイ夜が、
またあったらいいな・・・と思う。
まぁ、きっとあるでしょう。
私がつまんない大人になっていなければ。


愛とか幸せとか。
どんなに遅くなっても、ちんぷ荘にも来るといいな(笑)。
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by tinpunatabibito | 2008-05-24 01:39 | Comments(2)


ブログ書いてる暇があったら入稿しろよ!

・・・・とまぁ、思うわけですが、
本日のインタビューのテープおこしで、はや3時。

とりあえず、もう眠いので寝るとしよう。
ただ、深夜寝る前に、ブログを書くと、なんとなく
誰かに届く気がするので。
(今夜は徹夜組の同業者とか・・・)。


本日のインタビュー、
紅白にも何度も出た5人組。
大ヒット曲をなんとなく知っているだけで、
メンバー全員の顔はぜんぜん知らなかったケド。

一夜漬けの予習で、
さも昔からのファンのように、
「で、Kさんはどうなんですか?」
な~んて、スラスラとひとりひとりに質問を振るわけで(笑)。
インタビュアーって、ほんと恐ろしい生き物であります。

有名人だって、市井の人だって、
やっぱ、私はいろんな人に会いにいって、
ただの雑談ではなく、
さぁ、インタビュー始めますよ・・・と、
緊張する時間が好き。
1時間に足らないその間でも、
相手はみんな、真剣に質問に答えようとしてくれる。
ほんとはもっと、友達みたいにフランクな、
雑談的インタビュアーがいいのかもしれないけど、
私は、ちょっと距離感を持って、
「これは記事にするために、
とことん本気で聞いてるんですよ」という感じで
相手の言葉に向き合いたい。


その時間がうまく行ったか、失敗だったかは、
「ありがとうございました!」と
テレコを切った後の、取材相手の対応でわかる。
ビジネスライクな笑顔を貼り付けたまま、
仕事の時間はもう終わった、やれやれ・・・
(しかし、しつこいインタビュアーだったな、ホント)というように帰る人を
見送る場合もたまにある。

今日会ったメンバーは、
インタビューが終わって、「お疲れさまでした~」と
帰る道すがら、
ひとことふたこと、言葉をかけてくれた。
そういうのが、いちばんうれしい。
話もかなり面白かったので、
あぁ、いい記事にまとめなくっちゃ。。。と思った。


とりあえず、ぐっすり眠って英気を養おう。
ニンゲン、
ちゃんと野菜食べて、よく眠っていれば、
そうそう悪いことは起きないもんです。
すべては、ポジティブ・シンキングで。

それにしても、すごい雨。
台風が近付いているんだな。
いま、四国別格をお遍路中のハハが、
ちょっと心配。
まぁ、バスツアーなんで大丈夫だとは思うけど。
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by tinpunatabibito | 2008-05-20 03:37 | Comments(0)


オレたちよそ者、どこに行ったって・・・

昨日の浅草・三社祭。
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こういう写真をアップすると、
三社祭を見にわざわざ出かけたっぽいですね。
じつは、小岩の某自転車屋さんで
新しいロードバイクをオーダーしようと思い、
ビルダーさんの話を聞きに行った・・・・
(注文から1年かかることもあるらしい。。。)
その帰りに、
とりあえず、今すぐ乗れる中古の自転車はないかなぁと、
浅草の「パンチサイクル」をのぞきに行った。

・・・・ら、たまたま見かけた風景なのであります。

もちろん、週末に浅草で三社祭があるということは知っていて、
上京してから一度も見たことがないその祭りを見たいとは思っていて。
でも、ひとりで祭りを見に行くのもなぁ~と、
いかにも「自転車屋の帰りにたまたま通りがかったふう」に、
ちょこっとだけ雷門方面に歩いてみたら。。。

その時点で午後4時近く。
自転車屋のある路地は、
いかにも下町な人たちが、家の軒先でビールを飲んでいて、
若い男女もおっちゃんおばちゃんも子供たちも、
祭りがそろそろ終わる午後のまったりした雰囲気を味わってる感じだった。
大通りに出ると、歩行者天国になっていて、
気付いたら、けっこう列の前に出て、
鉄チャンならぬ「三社祭オタク」みたいに写真を撮りまくっていた。

・・・・だって、楽しそうだったんだもん。
このまま、道ばたに座って
缶ビールでも飲んじゃう? と思ったくらい。
さすがに、それはやめときましたが。


浅草のゲストハウスに4か月住んでいたけれど、
最後まで浅草は私にとって「仮の居場所」だった。
この日も「よそ者」というか、
住人でも観光客ですらない、ただの通りすがりの者だったけど、
一年に一度の祭りに
浮かれている下町育ちの人たちが、かなりうらやましかった。

地下鉄・田原町の駅に向かう途中、
またまた、2隊の神輿に遭遇。
「にわか三社祭オタク」は
思わず、歩道橋に上ってパチパチ。
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たまにはこうして
冷静に「祭りの傍観者」になるのもいいけれど、
やっぱ、「ウカレテ神輿を担ぐ」側のほうが断然面白そう。
踊る阿呆に見る阿呆だったら、
私は、ウズウズしてつい踊っちゃう阿呆側だな、と、
しみじみ思った5月の午後。
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by tinpunatabibito | 2008-05-19 22:56 | Comments(2)


陳腐な執筆風景

ふ~。
事故後初のB誌入稿が、とりあえず一段落。

どこかで頭のネジが破損していて、
「ワタシ、ゲンコウのカキカタ、ワカラナイ・・・」
なんてことになったらどうしよう。。。と思っていたけど、
まぁ、遅筆なりに第一段階クリア。
今月は月曜にあと一本、インタビューが控えていて、
5人組のコーラスグループを取材する。
これは取材したら即、入稿校了になるので、
まだまだ緊張は続くなぁ。
でも、今夜は寝酒の梅酒いっとこう。
先日のちんぷ会で、唯一残っていた誰かの差し入れ品である。


「Eくんさぁ~、起承転結って知ってる?」

ライターになって間もないころ、
編集部で原稿を書いているときに、
編集M川氏が皆に聞こえる声でいった。
Eくんとは、当時B誌で活躍していたライターさんだ。

駆け出しライターの私はこれを聞いて、ギクリとした。
しぇ~! 仮にもプロのライターさんに
「起承転結って知ってる?」とは、
なんと痛烈、かつ嫌味なダメ出しなんだ・・・!
ジブンがもし、そんなことをいわれたら、
もう立ち直れないかも・・・と秘かに思った。
EさんはマイペースなM系の人だったので、
どこ吹く風・・・と飄々としていた気もしますが。


そのときの間接的トラウマからか、
ちょっと長めの原稿を書く前に、常にしている作業がある。

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①大学ノートにテープおこしした言葉で重要な部分に赤線を引く。
②コピー用紙(の裏紙)に、起・承・転・結の箱を4つ書く。
③その4つの箱に、何を入れようか悩みながら構成する。
(テープおこしのノートに番号を振り、
入れた要素が何番かも明確にしておく)。
④流れが決まったら、あとは勢いで書く。

・・・・とまぁ、そんな感じ。

執筆環境(畳の和室・こたつ・PC画面はちりとてちん)もアナログだが、
やってることも相当アナログで、
頭の切れるライターさんが見たら、
「このヒト、よくこんなんで今まで仕事してこれたなぁ」って呆れると思う。

でも、この「起承転結ボックス」は、
私にはすごく有効なのだ。
最初の書き出しまでは頭が真っ白で、
ぐずぐずと、なかなか動き出せないんだけど、
「起承転結ボックス」の四角をボールペンで書いて、
あのエピソードはこの箱、
このエピソードはこの箱・・・・とひとつひとつ仕分けていくと、
その作業が終わった段階で、原稿は半分書けたようなもの。
(まぁ、そういかないことも多々ある)。

この作業って、M川さんがEさんにいったあのひとことがなかったら、
もしかしてやってなかったのかな・・・と、
そんなことを今日の午後、唐突に思ったのでありました。
Eさん、今はどこで何してるんだろうなぁ。


「ちんぷさんのブログ、『陳腐』で検索したら、
トップで出てきたので笑えました」

美人カメラマンKさんからのメール。

そうなんである!

いま、ヤフーで「陳腐」と検索すると、
いの一番に、私のブログが出てくるのだ(!)。
陳腐協会会長としては、これは非常にうれしく、
かつ、名誉なこと・・・・のような気がする(笑)。
今まで、ちんぷ、ちんぷといい続けてきてヨカッタなぁ。。。と、
しみじみ感慨に耽ったりもする。


私がなぜ、「陳腐」と名乗るようになったか。

知っているヒトは何度も聞いた話だと思うけど、
これは、M川さんがEさんにいった言葉より、
さらに痛烈なひとことを、編集Sくんにいわれた8年前に遡る。
(なぜ8年前と明確に覚えているかというと、
その夜の翌日、柔ちゃんが感動的な金メダルをとったからだ)。

そのとき、私はB誌のガスストーブ特集を担当していて、
特集チームのライターは全員、
締め切りをとうに過ぎた原稿に悪戦苦闘していた。
あの頃は、みんな編集部で原稿を書いていて、
入稿のときはすごく一体感があった。
それもよしあしで、
「いま何ページ入稿した?」
「まだ1ページも(涙)」
「あ~! よかったぁ!」・・・・という具合に、
ライター同士で、他人の遅筆ぶりをみて安心することが多かった。

編集部に「どよ~ん。。。」とした空気が漂いだすと、
全員が「書けない!」状況に陥ってしまう。
その夜がまさにそうで、
ライター陣はそろって、原稿を書いてはつき返され、
何度も書き直すうちにどんどん泥沼に入っていく感じだった。
私はあまりに追い詰められて、生まれて初めて、
ほっぺたから脂汗が出たくらい。
「ほっぺたから脂汗を出した人をはじめて見た!」と、
ライター仲間のMちゃんが興奮していた。

たった30数行なのに、ちっともうまく書けなくて、
悶々とし続けた深夜。
なんとか、ジブンなりに完成させた原稿をプリントアウトし、
編集Sくんに提出した。
(メール送信で入稿する今と比べて、すごい昔に感じるなぁ。。。)

特集チームが全員集合してるライター席で、
私の原稿を読んだSくんがいった。
(彼は基本的に、興奮すると声がデカくなる)。

「カッコイイたとえをしようとするときのあづみさんの原稿は、
はっきりいって、
陳腐なんですよー!



ライター席にいた全員が
こらえきれず爆笑した。

「ら、ライターに対して、陳腐なんてあんまりだ・・・」

あまりの衝撃に腰が砕けそうになりましたねぇ、そのときは(笑)。


でも、その言葉はまったく図星だったと、今は思う。
バカはバカなりに、
体験から得た事実や、感じたことだけを素直に書けばいいのに、
その頃は、ただ机上で、
ちょっと字面がいい言葉をツギハギしていただけだった。



陳腐
[名・形動]古くさいこと。ありふれていて、つまらないこと。
また、そのさま。陳套(ちんとう)。「―な表現」「―なせりふ」 (『大辞泉』)


「でも、旅人のしてること、話すことって、
大抵は『陳腐』なんだよなぁ。。。」

自転車で日本縦断をしているとき、フトそんなことを思った。

旅の宿で誰かとお酒飲みながら、ジンセイを語り合ったり。
みんなで見た夕陽のきれいさに、これからガンバローと思ったり。
村のじいちゃんばあちゃんの皺くちゃな笑顔に「はっ!」としたり。

どうしようもなく陳腐だけど、
100人の旅人がいたら、89人が体験したり、感じるようなこと。

そういう「陳腐道」をとことん極めたら、
それはそれで、リアルな表現なんじゃないか?

そんなことを大マジメに考えて、「陳腐な旅人」になった・・・わけで。

やっぱり、私は大バカ者かもしれない。
いや、「・・・しれない」じゃなくて、
ほんとに大バカ者である。


でも、エッジの効きまくったCOOLな表現は、
陳腐なことは絶対にしない「100人中の11人」
(もしくは1人の天才)に任せておけばいい。

ジブンはたぶん、
「古くさくて、ありふれていて、つまらないこと」・・・・に
心の底から感動しちゃうタイプなのだ。
(この間、「『サザエさん』ってほんとつまらない!」
というコラムを見て「えぇー!?」と愕然としたように)。
みずみずしい感性を磨くことはもちろん大事だけど、
ニンゲンの本質まではそうそう変わらない。
根っこが「陳腐な旅人」ならば、
リアルな体験から沸き出した、とことん本音の言葉を
不器用でも時間をかけて丁寧に丁寧に書いていけばいいんだ。。。

それが私の出した結論・・・だったのかな?

なんかよくわかんないけど、
まぁ、梅酒の酔いも回ってきたので、今夜はここまで!
ビバ! 陳腐!
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by tinpunatabibito | 2008-05-16 03:55 | Comments(4)


突発的ドタバタちんぷナイト

「ちんぷさんのお見舞いに
これから森山さんと行こうと思うんですが・・・」

金曜の夜、けんちゃんから電話。
え~、いいよ~、見舞いなんて。もう元気だし。

「いや、ただ飲もう・・・ってだけなんですけどね(笑)」

だったら外、外、外で飲もう・・・!
散らかった家でだらだらしてたのを
見られてなるものか・・・といったんは断る。

でも、やっぱ店で飲むと落ち着かないか・・・と
「わかった! ダッシュで掃除するから、ゆっくり来て~」
もりやーまんとけんちゃんの二人なら、
多少散らかっていても、まぁいいだろう・・・と、
そのときは思っていた。


そしたら。。。

彼らはなんと!
『b*p』の敏腕デザイナーIさんまで誘っていた。
「Iさん、来るそうですよ~」
えぇー!? まじっすか(汗)。
ちんぷ荘の推定5倍の家賃の超高級マンションに住むIさんが
このぼろ家で飲む、ですとーーー? 
昭和の香りはぷんぷん漂うアパートだけど、
『b*p』6号に出てくるような
オサレ系とは無縁の、男子学生部屋よりも殺風景なこの部屋で!?

彼らは、家主の動揺を面白がりながら、
さらに携帯をじゃんじゃんかける。
まだ面識のない美人カメラマンのKさん、
ますけん、ムネマサ、
「編集のSさんも来るそうですよ。こりゃあ面白くなってきたぞ!」って、
ひぇ~(もうキャパ超え)。


「と、とりあえず、私はつまみ作るから、
掃除機かけといて~!」
もーりー部長に掃除機を渡す。
さっきも一応ざっくりかけたんだが、
超ドSデザイナーI様お出迎えとなると、大奥なみのキレイさを保っておかねば・・・!

「ちんぷさん~、これ、ゴミ詰まりすぎてて吸い取れないよ!」
「あ、じゃあ、ナントカして~(涙)」


そんなこんなで始まった突発的ちんぷナイト、
数時間後には私はすっかり泥酔状態で、
みんなもあーだこーだ、いろんなとこで話してた。

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写真はすべて、
もーりー部長が私のデジカメで勝手に撮りまくってたもの(一部)。
だから一枚も映ってないもーりーは途中からぐうぐう寝てしまった。
私もそのあと、うっかり寝てしまったらしく(・・・き、記憶がない・・・!)、
気が付いたら、朝5時。
ちゃりんこでさわやかに帰る一同を、
寝ぼけまなこで見送っていた。


酔った勢いで胸の中にしまっておくべきことをいっぱい喋ったような気もするし、
酔った勢いで料理の味付けも超テキトーだったような気もするし、
酔った勢いで深夜にS編集長に電話してた気もするし(携帯の履歴見てあ然)・・・。


あぁ、こりゃとんだお見舞いだよ~(涙)。
酔っ払うと何でもアリなジブンがダメなんだけどねぇ。。。

でも、以前こっぴどく叱られて以来、あんまり話したことなかった
超ドSデザイナーのIさんとも、ちょっとだけわかりあえたような気がするし(気のせい?)、
やっぱり超ドS編集者のS君のあるひとことで「目が覚めたーーー!」気もするし、
まぁ、写真を見る限り、みんな楽しそうなんで、これはこれでヨカッタのかな。。。


そして土曜日。
不動産屋さんから電話があった。

「アパートの住人さんから苦情の電話がありまして。
昨夜は相当にぎやかだったようで。。。
いえいえ、お友達を呼ばれるのはかまわないんですけど、
深夜はもう少しお静かに・・・・」
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by tinpunatabibito | 2008-05-12 03:05 | Comments(5)


ふじみのJUMP!

フッ、
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ジッ、
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サーーーンッ!
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あぁ! 最後のJUMPに肝心の富士山が映ってなーーいっ!
・・・・というわけで、本日の富士山。
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ご心配おかけしました。
不死身のヨソジ、
富士見JUMPができるまで
復活しました~!

事故の2日後から1泊2日で南房総ロケに出て、
10日は断つ予定だったお酒もいっぱい飲んで、
今日は、B誌の富士山特集のため、
レンタカーを運転して、忍野村まで日帰りロケへ。
中央道でトンネルをくぐるとき、
強打した頭が割れるように痛みだし・・・・ということもなく(・・・ほっ)、
まぁ、この先は
保険金をがっぽりせしめて(笑)、
新しい自転車を手に入れようと、
すべて前向きに考えることにしました。

「いいことばかりはありゃしない」・・・けど、
毎日笑って生きていられれば、
それがいいことなのかもしれないなぁと。
99.9%うまくいかなさそうなコトだって、
はなからダメと決め付けず、
残りの0・1%に賭けてみようと思える夜。

あぁ、カラダが元気だと、ココロも元気。
けっこう長く生きてきて、
誇れるものがひとつだけあるとしたら、
転んでもすぐ起き上がれる「生命力」しかないわけで、
この間、押入れの大掃除をして久しぶりに見た
古い旅のスケッチブックは、
まったくセンスや知性のかけらもなく、
ただただ、恥ずかしくなる代物であり、
あとで赤面しないようにもっとCOOLに生きたいとも思うけど、
そこで抑えてしまってはジブンらしくないから、
これからも、
その瞬間瞬間は、「おぉ! 私って結構やるぅ~」と
100%MAXなものを書いたり描いたりしながら、
無駄にエネルギーを放出していこうと思うのです。

ときどき、JUMPしながら・・・ね(笑)。


今日は、俳優HHさんのインタビュー。
富士山のふもとのステキな山小屋で、
うきうきする音楽を聴きながら、
1時間の予定が、
日がどっぷり暮れるまで楽しい話を聴いた。
淡々と穏やかな大人のヒトだと思っていたHHさんは、
とても熱い(でもダンディ!)なおじさまで、
なんと創刊当時からのB誌愛読者。
ギャラは破格に安いのでマネージャーさんには断られそうだったのに、
「B誌なら喜んで出るよ~」と二つ返事で引き受けてくれたらしい。
10~20代のヤンチャな時代の話、
美輪さんと共演した舞台の話・・・、
気が付けば、
富士山のハナシは全体の2割ほど(汗)。
でも、おかげで
職人Tさんは今回もきっちりいい写真を撮ってくれたし、
ただの日帰りロケというより、
すごい濃い旅をしてきた気がします。
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「ポラ、撮りますよね! 必要ですよね!?」
どんな被写体でも5割増しになるTさんのポラ欲しさに、
山小屋のデッキで思いっきりカメラ目線。
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うひひ、私はTさんのマミヤでポラを撮ってもらうのが大好きなのだ。
大きなカメラで、大切な瞬間を記録してもらえるようで。


「近くにうまいラーメン屋があるから行こうよ」
HHさんにラーメンと餃子までごちそうになってしまった。
(しつこいけど、ギャラは破格に安いのに・・・!)
あっさりとんこつ醤油味に細麺のラーメン、うまかった~。
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これがジブンの利益になると算段して生きるより、
「好きだからやるよ!」と二つ返事で生きる大人はかっこいい。
そのエネルギーはいろんな人に伝染する。
「今まで満足した作品は一本もない。
だから、まだがんばれる。
枯れてから、僕の代表作ができると思うんだ・・・」。
ラーメン屋でHHさんがいった。
トシをとることはけっこう面白いことだよと、
これからもいろんな人に教えられていきたい。。。

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by tinpunatabibito | 2008-05-09 01:03 | Comments(4)


LOOKと見た風景

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この僕もいつかは死ぬのだと
そんなことばかり考えてたことがあった
実は今でも時々考える何かの拍子で
僕が死ぬ時とその後の世界

何も変わらず世界は動く 僕はただただいない

(YO-KING 『DEFROSTER ROCK』収蔵・「その後の世界」より)


おーーーい! 
生きてるかーい!?


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「イ・・・・、イエイッ!」

救急車の中で瀕死?のちんぷ、
それでも、右手はしっかり親指立てていたのでした。。。
(※福井県大野市の救急隊員のみなさん、ほんとうにお世話になりました)


みなさん、ご心配おかけしてすみませんでした。
本日、無事? 笹塚のちんぷ荘に帰ってきたよ。

「ツール・ド・ちりとてちん」は、
予期せぬ方向に転がってしまって、
残念ながら、「未完」に終わった。

相棒の死とともに。
ちんぷ荘に戻って、
いつも「LOOK」を置いていた3畳半の窓際を見て、
あぁ、もう、ここにあの自転車を置くことはないんだと、
ちょっと寂しくなった。

LOOKとは、
出会って5日目から大事故に遭っているわけだけど。
そのあと、アマンダ・千葉さんのおかげで
見事、復活。
ツール・ド・おきなわも一緒に走ったし、
今回の旅でも、
いっぱい、いろんな峠を一緒に越えたんだ。


日本地図をお持ちの方、
しばし、LOOKとの旅を一緒に楽しんであげてください。
今は亡きフランス王妃のために。

1日目:4月26日(土曜)。
家の目の前の甲州街道(国道20号)を、
ひたすら西に向かって走った。

最初の峠は、東京都と神奈川県の県境・大垂水峠。
雨が降るなか、
峠を越えた後の下り坂でスリップしないように、
ハラハラしながら走った。
この日のうちに甲府まで行きたかったけど、
雨で冷え切った体がぶるぶる震えて、
笛吹市のビジネスホテルに泊まった。走行距離112.47km。


2日目:4月27日(日曜)。
この日から天気はずっと晴れマーク。
前日の遅出を反省し、朝8時から走り出した。
久しぶりのロングライドで体が疲れまくっていて、
長野県・富士見峠の手前で、
畑のわきのしだれ桜を見ながらストレッチをした。
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いつも東京で走っている国道20号が、
高速道路みたいなバイバスになったり、
田舎道になったり、町が変わるごとに変化していくのが面白かった。
キヨシローの名曲に『甲州街道はもう秋なのさ』というバラードがあるけど、
『甲州街道はもう春なのさ』・・・って感じ。
その後に越えた塩尻峠。
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この日はずっと向かい風に泣かされ、
2時ごろコンビニでガリガリ君を食べながら、
「あ~、今日は松本までしか行けないかも?」と思った。
でも、翌日の工程を考えるとなんとか少しでも進んでおきたくて、
がんばって松本から国道158号線に進み、松本電鉄・新島々駅前まで走った。
この先の峠に備え、
夜は持参した本(「カラマーゾフの兄弟」)を数ページ読んだだけで早寝。
走行距離123.49km。


3日目:4月28日(月曜)
朝6時すぎに起床。
泊まった民宿の朝ごはん(納豆・梅干し・鮭・のり・アスパラ・ヨーグルト)をたいらげ、
おりゃー! と気合い入れて出発した。
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なんせ、この日は究極の山越えロード。
10%の坂がなんぼのもんじゃいっ!
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新島々からは細くて暗いトンネルの連続で、
しかも、側溝付近はガタガタ。
交通量も多くて、二度と走りたくない道だった。
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トンネルを越えると、雪山が見えた。
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この先の安房トンネルは、自転車が通行不可の高速道路だった。
「じゃあ、一般道路の安房峠で高山に抜けよう・・・」
と思った私は、
標識もろくに見ず、えっちらおっちら坂を上りだし、
「あ~! 車が来ない静かな峠ってスバラシイ!」と、思いつつ、
すごい激坂をけっこう楽しみながら走ってた・・・・んだけど。
「この先、通行止めで走れないよ。下に看板あったでしょ?」と、
工事現場のお兄さんに笑われ、ががーん。
ありました、のんきに写真まで撮ってましたのに。
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結局、上った道を引き返し、途中の温泉宿でタクシーを呼ぶことになった。
玄関先を掃除していたおじさんは、よく見ると
ついさっき、にっこり笑ってすれ違ったワゴンを運転してた人だった。

「自転車の人が登ってくるなぁと思って見てたんですけどね」
(・・・だったら、そのとき冬季閉鎖中と教えてくれよ・・・!)
「車が通ってるからいけるのかなと思っちゃいました」
「いや~、うちの温泉に入りにきたのかなと思って(笑)」
・・・・そ、そうか。普通はそう考えるよね(汗)。
やって来たタクシーの運転手さんは
「あ~、ばらさなくてもヨカッタのに~」と、
私が前輪だけ外しておいたLOOKを、
慣れた手つきでひょいひょいと、荷台に積み、
怒涛の勢いで喋りだした。
「この時期の安房峠は、雪崩がすごいし、
熊も出るよ~! もう少しあったかくならないと通れないね」。
新島々~沢渡のトンネルを帰りにも通るのがイヤでタクシーを呼んだ人、
急な下り坂でガードレールに激突して自転車を大破させてタクシーを呼んだ人、
今までけっこういろんな自転車人を乗せてきたらしい。
安房トンネルの数キロを移動するためだけに
5000円近く(1泊2食分の大金!)使ったのは痛かったけど、
まぁ、運転手さんのトークショー代とあきらめた。


トンネルを越えて、平湯峠に向かう道。
「平湯峠を越えれば、高山までずーーっと下りだから!」
という言葉に気がラクになり、
セルフタイマーで写真を撮る余裕も。
10秒間に、きっちり自転車で画面に入るのって難しくって、
橋げたの前で何度も撮り直した。
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正確には、「ずーーーっと下り」じゃなかったけど、
高山には12時半ごろ着いた。
レトロな観光地で天ざるを食べ、
荘川村方面へ。

途中の道で見た「みたらしだんご」のお店。
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「あんた、いくつや? まだ若いやろ~」
「いや~、若くはないですよぉ(でも、うれしい)。おじさんは?」
「おじさんはいえんくらいトシやぁ~」

昭和6年生まれ、チチより3歳年上のおじさんは
定年退職後にこの店を始めたらしい。
「売れますか。みたらしだんご」
「まぁ、そこそこ売れるよ」
「東京のみたらしだんごは甘ったるくてだめですね。
私、実家が名古屋だから、みたらしはやっぱり醤油が焦げたやつじゃないと」
「ま、名古屋のも甘いけどな」

天ざる食べた直後だったので、1本だけ買った。60円。
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携帯の着信があったので、しばし店の横で次の取材の用件を片付け、
食べ終わった団子の串をおじさんに捨ててもらおうとしたら、

「みたらし、うまかったか」
おじさんが聞く。
「うまかったよ~!」

見ると、さっき焼いていた団子が1本だけになっていた。
「これ、あげるから、もう一本食いな」
・・・・おじさん、ありがとう。もしかして、そのために一本残してくれたの?

「飛騨はどうかね」
おじさんは、「みたらし、うまいか」というのと同じ口調で私に聞く。
「いいですね~、山がきれいで」
もっと気のきいたことをいえる旅人だったらよかったのに、と思った。


それから走り出して、
サイクルコンピューターが止まっていることに気付いた。
何かがずれてしまったんだろうか。
小浜に着いたとき、
「ジブンがどれだけ走れたか」を見るのを楽しみにしていたから、
ちょっと凹んだ。
でも、すぐに、数字なんてどうでもいいやと思った。
ジブンがいま何キロで走っているのか、何キロ走ったのか。
数字は目安にはなるけれど、
しんどいときはしんどいし、走れるときは走れる。
ジブンが設定したゴールに向かって走ることだけが大切なんだから、って。

小鳥峠、意外ときつかった。
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その次の松ノ木峠で、木の切り株に座って、とある事務所に電話。
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次のB誌特集のインタビュー依頼、一発で玉砕。
でも、いつかまた「彼」に会えることがあったら、
峠の上で取材依頼して玉砕したことを話したいな、
そしたら自転車好きロックスターはきっと笑ってくれるかな・・・と思ったら
ちょっと楽しくなった。

夕暮れ時、この先に宿はありますか・・・と民家のおじさんに聞いた。
「荘川村にもあるけど、
まだ日があるから、ひるがの高原まで走れるやろ」。
おじさんにそういわれると、ヨレヨレなのにまだ走れる気がする。

ちょっとこっちこっち・・・・、
そのおじさんが家の向かいの公民館を指さした。
「公民館・・・・ですね」
「そのわきを見てみ、カモシカがおる」
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びっくりした。カモシカをあんな至近距離で見たのははじめてだった。
「ケガしとるみたいで、朝からずっとあそこにいるんや」
カモシカは私たちが10mぐらいまで近付いても逃げずに、
何か不安そうにこっちを見ていた。
おじさん曰く、目もよく見えないらしい。
「えさとかあげたらいけないんですかね」
「うん、でもああして草食べとるから」
「保護してくれる団体とか呼ぶことはできないのかな」
「でも、高山からここまで車で来ても1時間ぐらいかかるから。
そのときにここにいるとは限らないしね・・・」

道を聞いただけのおじさんと、
ふたり並んでカモシカを見ていた夕暮れを、
私はいつか思い出すんだろう。
タフに生き抜けよ、野生のカモシカ・・・・と祈った。

この日は、ひるがの高原の民宿に泊まった。
素泊まりで3500円。
おばさんは、私がコンビニで買ってきたカップスープにお湯を入れてくれ、
お茶と一緒にカステラを出してくれた。
甘くて、すごくおいしかった。


4日目:4月29日(火曜)

この日も朝7時に出発。
桜並木を見ながらがんがん走り、
158号線を白鳥まで下った。

そして、この旅でおそらく最後になるだろう峠を上り始めた。
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「油坂(あぶらざか)峠」。
すぐ下を自動車専用道路が並行して走っているため、
峠を走る車は少なく、
たまに峠好きなライダーたちが追い抜いていくだけ。
とっても静かで、
ループ状の坂はめまいがしそうなほど果てしなかったけど、
最後まで一度も降りずに1時間で上りきった。
日本縦断中、上り坂は自転車を押して歩くもの・・・と決めていた私が、
LOOKと旅を続けて、こんなにタフになった。
変われば変わるもんだね・・・と思いながら、
峠のトンネルの前で写真を撮った。
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突然、ちぎれた鎖が付いた犬がひょろひょろと現れた。
どこからか逃げてきたんだろうか。
すごく痩せていた。

「朝のパンの残りをあげればヨカッタな・・・」
そう気付いたときは、もうトンネルを越えて、坂をぐんぐん下っているときだった。

坂の途中で、
「福井県大野市」の標識が見えた。
ついに、福井に入ったぞーー!
九頭竜湖畔は、ずっと下り坂で、
桜を見ながら快調に飛ばした。
これなら昼ごはんは、大野市でゆっくり食べられそう。
がんばれば、今日中に敦賀まで走れて、
明日の昼は、
念願の「焼き鯖」を小浜で食べて、
あとは自転車を降りて、のんびり「ちりとてちん」ロケ地を巡るぞ・・・・!


桜がきれいだったので、
あんまり先を急いでも・・・と、道端にLOOKを停め、
湖畔の公園に寄る。
湖のそばで遊ぶ子供とお母さん、
それをベンチで見守るお父さんの後ろ姿がよかった。
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それからもふたつほど短いトンネルを越え、
最後のトンネルをくぐる前に、
「こいつはちょっと長そうだから」
リアフレームに付けたライトがチカチカ点灯しているか、
まぶしい光のなかで手をかざして確認した。


そのクルマがぶつかってきた瞬間のことは、
まったく記憶にない。

前の事故のときは、
自転車ごと地面に落下していくのを
スローモーションのように見ていて、
落ちた瞬間、
「歯が折れた・・・・!」とわかった。

でも、今回は、
ほんとうに記憶がないのだ。


気付いたら、トンネルの中で仰向けになっていて、
そばに何人か人がいて、
ぶつけてきたクルマの運転手に向かって、
「ライト、チカチカさせてましたよね???」
と、妙に冷静に問い詰めていた。
「はい、確かにチカチカしていました!」
運転手さんが必死で答えるのを聞きながら、
(よかった・・・・、私はやるべきことはやっていたのだ・・・)と妙にほっとした。


救急車で運ばれるのは、ジンセイで二度目だ。
前のときは、
「頭痛いんですけど、このまま死んじゃうことはないですか!?」
と救急隊員の人に聞き、
「それだけ喋れてたら、たぶん大丈夫です」といわれた。

今回は、ヘッドギアみたいなのを装着された状態で、
「すいません・・・。
右のポケットにデジカメ入ってるんで、写真撮ってください」
と頼んでいた。
あぁ、どんなときでも、私ってやつは
「こ、このネタをいつか書こう・・・・」と思ってしまう
骨の髄までライター(ブロガー?)なわけで。
救急隊員さんに
「GWなのに、お手間かけてすいません」とへんなお詫びまでして、
いえいえ、とんでもない・・・と呆れられた。


大野市救急病院でレントゲンを撮ったら、頭も足も異常なし。
「CTとか撮らないんですか・・・?」と尋ねたら、
「すいません、うち、CTの装備がないんですよ」といわれた。
診断は、「左足打撲」。
湿布を3枚貼ってもらい、
「これだけの事故で、こんな軽症なのは幸いでしたよ」
と看護婦さん。
救急病院なのに、なんだかすごくのんびりした雰囲気で、
事故に遭った実感がいまいちわかないまま、
現場検証を終えてこれから病院に向かうという警察と、
私にぶつけた人を、病院のロビーで待った。
お腹がすいたので、
さっき野良犬にあげそびれたパンをむしゃむしゃ食べた。


「自転車、パトカーに積んできましたけど・・・・、
見ないほうがいいと思うなぁ。。。」

私がショックを受けると思って、若い警察官がいう。
でも・・・見ないわけにはいかないじゃん!
見たら、やっぱりショックだった。
後輪ぐしゃぐしゃ。
アマンダの千葉さんが巻いて修理してくれたカーボンテープも
すっぽ抜け、フレームも折れていた。
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「ちょっと自虐的ですけど・・・・」
今度はおまわりさんに写真を撮ってもらった。
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LOOK、ごめんね。
小浜の海を見せてあげることができなかった。
そして、
壊れた自転車を輪行して持ち帰る気力も体力も、
もう私には残ってなかった。


守ってくれてありがとう。

今は、まだ頭がぼんやりしてて、
足も腫れててうまく歩けないけれど、
私はきっと、また走り出す、自転車に乗って。

沖縄・やんばるの坂、
道志のみち、
埼玉の定峰峠、
そして、今回越えたたくさんの峠。

キミがこの世界から消えても
キミと一緒に走った道、一緒に見た風景のこと、
私はいつか必ず、
陳腐じゃない言葉できちんと書くから。
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by tinpunatabibito | 2008-05-02 01:37 | Comments(10)

    

いつかどこか「陳腐な食堂」開店予定の、52歳キッチン見習いの雑記。
by tinpunatabibito
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